あのー


「あのー…」

騒がしいクラスで、

肩幅の狭い

前髪で目元が隠れている子が

か細い声で言う


「あのー」

誰も聞いてない

かき消す声はクラスの後ろ

一番後ろの列とロッカーとの

あの名前の無いスペースから


「あのー!」

クラスにある全ての目に

小さな自分が映る


自分の声にハッとした子は、

制服の袖を固く握って、

何かしらの思いの丈を、

みんなの心を掴む、

芯を食った何かをボソボソ呟く


観客はその何かしらの台詞で

感情をかき乱され

目から涙を流す




「あのー」は聞く準備をさせる言葉だ

聞いて欲しいから言う言葉だ

次の言葉が出るまでの間、

聞いてくれてる人を繋ぎとめるための言葉だ




学生時代、miwaのオールナイトニッポンをよく聞いていた

「あのー」

その後にくる言葉を待っていた

多分凄く目を輝かせて

あの頃の僕は、miwaの「あのー」でいつまでも待っていられた

最高の夜々※だったなー

懐かしー


それではお先に、アンドロン!



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よるよる - ヨルヨル

【夜々】

①毎晩。

②特定(幾日か)の夜

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